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趣味の日経225が評価によい影響を与える?

図書館通いと一杯飲み屋の講義頭の訓練のほうでは、仕事が終わると毎日、向かいにあった K 証券会館の図書館に通った。
ここに来れば、新聞、雑誌、専門害にいたるまで、証券関係の本はすべて揃っているのだ。 『セキュリタイゼーションー金融の証券化』( T 新報社)は20年以上前の著書とは思えないほど、現代の金融問題を透視する内容になっている。
先生には、たくさんのことを教えてもらった。 図書館が閉まる時間になっても話が尽きず、近場の安い一杯飲み屋にくり出して講義の続きだ。
いわば個人教授である。 なにも知らないけれど、熱心さと勉強意欲、そして夢だけは大きかった当時の私をおもしろがってくださったのだろう。

先生の親切に、徹底的に甘えることに私は決めた。 きっと子どものように、「あれ、なに?」「これ、なに?」となんでも訊いていたのではなかろうか。
たとえば、日本経済新聞の「大機小機」を3年分、証券図書館でチェックしていて、不思議でならないことがあった。 「同じ数字でも、この人は上がる、この人は下がる。この人は景気がよくなる、この人は悪くなると言うことがバラバラですけれど、どれが正しいのですか?」「 B の楽譜を見ても、指揮者によって棒の振り方がちがうのと同じだよ」なるほど、同じ楽譜でも音楽家によって指揮法がちがう。
そこに音楽家のオリジナリテイが生まれる。 証券マンは同じ数字を見ても予測がちがう。
ということは、人まねでなく、自分のオリジナルの予測法をどうつくり上げるかが大切だ、との先生一流のアドバイスだった。 勉強のコツは S の小説にあり M 先生から教えてもらったことで、忘れられないことがひとつある。
それは、「S の小説の書き方を見習え」というものであった。 こんな話をしたのは、先生は私に、勉強のコツを伝授しようとしたからだと思う。
それにしても、どんな質問にも分かりやすい構えでピタリと教えてくれる。 あれだけ教え方の上手な先生はそうはいないだろう。
Mには、ファニーメィ(米連邦住宅抵当公庫)やジニーメイ(米連邦政府抵当金庫)などのレポートが毎月、山のように届いた。 本来は顧客である機関投資家に差し上げる資料だが、原語で書かれてあるからだれも読まない。
そのため、だれにプレゼントすれば喜ぶかもわからず、結果、だれも活用しなかったからオフィスに山積みだった。 これを図書館に持ち込むと、先生は片っ端から翻訳して教えてくれるのである。
いまとちがって、当時は、『 W ジャーナル」『 F タイムズ』が1部1000〜1500円もした時代である。 Mのレポートをいちばん有効に使ったのは私だったかもしれない。

なにごとにおいても、テーマが明確になれば関連資料がどんどん集まってくる。 結果、『竜馬がゆく』を書きながら、次に書くべき偉人たちの資料がいつの間にか収集されてしまう。
勉強はぷつんと途切れることなく、スパイラル状に営々とつながっていくものだ、と M 先生は教えたかったのかもしれない。 証券なら証券の勉強をする。
なにかひとつでもいいからテーマを持つ。 とことん勉強して深掘りをしてみる。
勉強すればするほど興味、関心が湧いてくる。 ひとつマスターすると、次のテーマに関心が自然と移っていく。
この連続で知識、情報が増えていくばかりか、知識と情報の幅がより広く、点から線、線から面へと多角的になっていくのだ。 M 先生は若くして鬼籍に入られてしまった。
かえすがえす残念でならない。 サブプライムショック後の世界的金融大混乱のさなか、いまこそ先生が活躍すべき時期ではなかと思うのである。
さて、私は、 Mから S に転職するときに、 N 讃券専務取締役の N さん( N 不動産ホールディングス元社長)に会いに行った。 N 讃券で最年少支店長になり、役員になった人だ。
大学生のとき、「銀行よ、さようなら。 証券よ、こんにちは」という N 支店長の講演を聞いて感激したのが、そもそも私が証券会社に進もうと決意した動機だった。

業界の名物男である。 私は渡米する前に憧れの大先輩を表敬訪問して、ひと言アドバイスをもらおうと考えたのだが、向こうのほうが一枚上手だった。
まず、「ああ、あのときのボク?」と私の顔を覚えていらっしゃったことに驚いてしまった。 そして、「どうして、君のような学生が N に来なかったのか? N はどうしてあなたを採用できなかったのだろう?アメリカに行く前に、 N 讃券に対してなにか提言してくれよ」とまじめな顔で聞くのである。
天下の N 誼券に、私ごときが言うことなどひとつもない。 しかし、持論なら話せる。
勘のいい N さんだから、きっと私の意味するところを汲んでいただけると思って、こんな話をした。 「教育しすぎないほうがいいですよ。私なんてほとんど教育らしい教育を受けていません。
おかげで、自分で勉強する癖ができました。 自分で勉強したことだけが、血となり肉になっていると思います。
N さんは業界でも教育が行き届いていることで有名ですが、これが将来、どんな結果をもたらすかはだれにもわかりません」考えてみれば、 N さん相手にずいぶん生意気なことを言ったものである。 だが、この考え方はいまでも変わらないし、これからも変わらないと思う。
勉強は自分でするもので、だれかが用意してくれるものではない。 勉強のプロになれば、必ず結果はついてくる。
私はそう信じている。 なぜ、ここまで不景気になってしまったのだろうか。
どうやらFRB(米連邦準備制度理事会)も日銀も、マーケット(株式市場、外国為替市場など)を甘く見ていたようだ。 マーケットは1980年代になって急速に、間接金融市場という銀行中心のマーケットから、直接金融市場という投資家中心のマーケットへと変化を遂げた。
これは簡単に言えば、銀行中心から投資家中心への移行である。 つまり、投資家がどう考えるかが、市場の価格決定メカニズムそのものとなったのだ。

銀行が「こうあってほしい」と考えても、投資家と意見が異なれば、国家さえも見放されてしまうのである。 この直接金融市場の急拡大を甘く見たアメリカ政府は、自国通貨のドルがよもや自分のコントロールから離れてしまうとは考えてもいなかった。
思えば、世界でいちばん経済運営のヘタな国が、長らく通貨をコントロールしてきたのである。 P・D 教授も言っているが、アメリカ政府とその官僚は、どんな時代でも、勝ち残る人々が現れる。
生き残る意思と個性さえあれば、「大変動」は「大チャンス」に変わる。 日本でいちばん人気のある経営学者。オーストリア生まれ。
B 大学、N 大学教授を経て、2003年までカリフォルニア州 K 大学院教授。 「マネジメントの発明者」と呼ばれる。
優秀な人ほど「この世にコントロールできないものはない」と考えがちだが、マーケットは常に想像以上の動きをする。 「バブル崩壊」という事態は、従来の経済理論では考えられない現実を次々に見せつけてくれた。
あまりに経済を理論で統制しようとしすぎたのだ。 市場が理論では動かないことを知らない人々の運営が、再び破綻しようとしている。
そのことを、数字を用いて表せば、日本の平均株価が6000円になり、1ドル17円になるということなのだ。

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